
モスクワ郊外にあるロシア最大の航空博物館「モニノ空軍博物館」に長年放置されているベリエフ『VVA-14(14M1P)』を近距離で撮影した写真です。VVA-14は冷戦のさなか、戦略弾道ミサイル(ポラリス)を搭載した米原子力潜水艦に対抗する水陸両用対潜哨戒飛行艇として1970年台に研究が開始。設計はイタリア人亡命技術者ロバート・L・バルティーニが中心となり飛行艇開発を得意とするベリエフ設計局と共同で開発されました。計画では3機が予定されプロトタイプのM1、機種にエンジンを追加し離水能力を高めたM2、フライ・バイ・ワイヤ技術と対潜武装を搭載した実戦タイプM3が計画されていました。M1は1972年9月4日初飛行に成功、試験結果を踏まえM2仕様に改修した14M1Pで表面効果試験に移行予定でしたが、完成前の1974年にバルティーニは亡くなってしまいます。中心人部を失った後も試験は継続され1977年まで行われましたが、目標性能を出せず、問題も多かったことから最終的にプロジェクトは解体、VVA-14の技術は後のベリエフ、エクラノプランに一部引き継がれることになります。機体は現在も見学できますが、奥まった場所にあるため近距離での撮影は難しいようです。写真では脱落した主翼やエンジンなどが確認でき、長年放置されている為劣化している様子が確認できます。