
ソビエト連邦宇宙開発の集大成であるオービタ(宇宙往還機)『ブラン』の打上げまでを撮影した写真です。アメリカとソ連の2大超大国は冷戦の中、莫大な予算と国の威信を賭け宇宙開発競争を行い1980年代、アメリカは「スペースシャトル」をソ連は「ブラン」を完成させました。形状からスペースシャトルのコピーであるように言われますが、完全無人での帰還能力や打ち上げ方式が異なる等、ソ連独自技術による宇宙往還機です。写真は超大型輸送機「An-225(ムリーヤ)」に搭載する様子や発射台での組立て、関係者の記念撮影、打上げの様子等、当時公開されていなかった貴重な写真が確認できます。自動操縦テスト専用機(1号機)であるブランは1988年11月15日午前3時バイコヌール宇宙基地から打ち上げられ、206分間にわたり地球軌道を周回した後、打ち上げ場所に自動着陸を成功させました。予定では1989年に2号機(ピチューチカ)による打ち上げ、1992年に3号機(バイカル)による有人飛行と発表されましたが、ペレストロイカの混乱と資金難で計画は延期され、1991年にはソ連崩壊により連邦と共にプロジェクトは終焉を迎えます。