
■当時の新鋭機に勝る高性能機に進化
F-20は機体形状の変化による再設計と新素材採用の他、当時の各種新技術が投入されています。高性能アビオニクスの改良が大きく、ヘッドアップディスプレイ、新型ミッションコンピュータの採用、GE製マルチモードレーダー搭載によるルックダウン能力の獲得等フライ・バイ・ワイヤが無いのを除けば当時の新鋭機と比べても性能に遜色は無く、抜群の運動・操縦性はテストパイロットでプロジェクト顧問でもあった、あの有名なチャック・イェーガーが惚れこむ程だったと言われています。
■F-16の輸出解禁による誤算
当時アメリカでは技術秘匿の為、特別な事情を除き最新鋭機は海外へ輸出ができないという法律がありました。F-20はこれを見込みF-5Eの改良型として開発することで中小国のF-5を使用している国に売り込む事を考えていました。実際アメリカの新鋭機の輸出が見込めないヨルダンとバーレーンが採用を決定しましたが、量産するには数が少なく見送られています。数年後追い打ちをかけるようにF-16輸出が解禁され、採用をあてにした国々が性能が未知数なF-20より、アメリカ軍が大量に採用し性能的にリスクが低いF-16を選択してしまいます。

■プロジェクトの終焉
あきらめ切れないノースロップ社はF-5をライセンス生産していた韓国に生産治具ごとライセンスの売却を持ちかけますが、84年韓国でのデモフライト中に1号機が墜落。テストパイロット、ダレル・コーネルが殉職してしまいます。翌年2号機もカナダでのデモフライトで墜落、相次ぐ墜落によりプロジェクトは終焉を迎ます。現存する1機はカリフォルニア・サイエンス・センターで展示されています。
原型初飛行 | 1982年8月30日 |
全幅 | 8.1m |
全長 | 14.2m |
全高 | 4.2m |
乗員 | 1名 |
エンジン | GE F404-GE-100 (7711kg) ×1 |
最大速度 | M2.1 |
最大離陸重量 | 600t |
航続距離 | 2965km |
生産数 | 3機 |
![]() | 世界の傑作機 (No.96) 「F-5E/F タイガーII F-20 タイガーシャーク」![]() ![]() ![]() ![]() ![]() by G-Tools |