MiG-21MiG-21はMiG-19の後継機としてミグ設計局が開発した戦闘機で1960年代から70年代に掛けてソ連空軍の主力戦闘機として大量に生産されました。旧ソ連だけで13000機以上、インドでライセンス生産、中国ではコピーし他国まで輸出していたので、その数は膨大となり使用国は全部で50ヵ国以上と、20世紀に最も多く生産された航空機と言えます。性能的にはもはや旧式であり先進国の機体には見劣りしますが、安価で取り扱いが容易な軽戦闘機として今後も各国で改良を加えながら運用され続けられます。
■MiG-21プロトタイプ「Ye-2(上)」「Ye-4(下)」


■2系統のプロトタイプ
開発に当たりミコヤン設計局とTsAGIでは、次期マッハ2級戦闘機として後退翼とデルタ翼のどちらが有望か結論が出せず、後退翼機とデルタ翼機を実際に製作して比較することになります。MiG-19とよく似た後退翼のYe-2は1955年に初飛行に成功。本来搭載予定のエンジンの開発が遅れており代替の非力なエンジンでもマッハ1.8を記録。Ye-4より良好な性能を示し完成度はこちらのほうが高く評価されていました。一方デルタ翼のYe-4も同時期に初飛行に成功しており、改良型のYe-5がマッハ1.85を記録したことでYe-2との性能はほぼ互角になりました。比較検討の結果、構造がより簡潔で200kg程軽いYe-5が正式に採用され改良を続けることでMiG-21へと完成されます。



■多彩な近代化改修型、派生機
現在でも世界各国の空軍に配備されており、近代化改修案は各国から出されています。現役で稼働している機数も多い為ライセンス生産した旧東側国、中国、インドなどでは独自の発展を見せています。中でも中国では独自に改良を加え「殲撃七型(J-7)」として大量生産し中東・アフリカに輸出を行っており、さらに原形とは程遠いほど設計変更を加えたFC-1を開発しています。配備国以外ではイスラエルが『MiG-21-2000』として国産のアビオニクス、コクピットとし大幅な改修案を提案しています。

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■ベトナム戦争・第三次中東戦争へ実戦導入
MiG-21は導入した国も多く、運用年数も長い為、多くの実戦に投入されています。特にアメリカ軍のベトナム爆撃の際には地上レーダに管制され有利が体制から攻撃できたこともあり、ミサイル万能主義だった当時のアメリカ空軍に無視できない損害を与え、ドッグファイトの重要性を再認識させるきっかけにもなっています。他にも第三次印パ戦争、中越戦争、イラン・イラク戦争、湾岸戦争、コソヴォ紛争等主だった戦争以外にも多くの紛争や内戦に使用されています。

パキスタン空軍のJ-7PG


原型初飛行1955年6月14日
全幅7.15m
全長 14.10m
全高 4.13m
乗員1名
エンジンTumansky R-25-300×1
最大速度M2.0
最大離陸重量10,470kg
航続距離1,520km
生産数13,000機以上

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