f7uチャンス・ヴォート社が開発したF7U(カットラス)は双垂直尾翼と無尾翼という艦載機としては前例の無い特異な機体でした。無尾翼形式の為、離着陸の際に迎え角を極めて大きく取る必要があり、着艦時の前方視界が劣悪で着艦時の事故が多発し、配備からわずか3年で実戦部隊から退役しています。事故で総生産数約1/4を損失。4名のテストパイロットを含め、25名のパイロットが命を落としています。その事故率の高さから未亡人製造機と揶揄された不遇の機体でした。
■試作機XF7U-1


1945年にアメリカ海軍は各社に高速艦上戦闘機案の提出を求め、1946年7月にチャンス・ヴォート社のV-346案(無尾翼機)が選定されて開発が開始されます。V-346は双垂直尾翼と無尾翼の組み合わせという特異な形状であり、艦上戦闘機には不向きと見られていましたが、速性能の追求のためには無尾翼形式は極めて魅力的な手法であり、第二次世界大戦終結によりドイツから入手した先進的な航空機技術も後押しし開発は進められます。試作機であるXF7U-1は3機製造され1947年9月29日にパタクセントリバーで初飛行しています。しかし全機事故により損失しており、前期量産型のF7U-1を試験にあてています。



■多発した着艦事故と高い損耗率


■未来的な後ろ姿


当時としては高速性能の追求のためには無尾翼形式は極めて魅力的な手法であり、当時の艦上機の最高速度記録を更新。またその形状は、当時の航空マニアに未来から来た戦闘機であるような強烈な印象を与えました。離着艦の際の事故が多かった反省を踏まえて、後に開発されるF-8はMiGマスターとして活躍することになるので、一概に無駄であったとは言えません。

原型初飛行1948年9月29日
全幅12.09m
全長 13.13m
全高 4.36m
乗員1名
エンジンウエスチングハウス J46-WE-8 ターボジェットエンジン(推力:2,770kg)×2
最大速度M1.1
航続距離1,120km
生産数257機


図解 戦闘機 (F-Files No.023) (F‐Files)
図解 戦闘機 (F-Files No.023) (F‐Files)