BE4

2014年9月17日、ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社は米通販サイト大手「アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)」の創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏が経営する宇宙ベンチャー企業「ブルー・オリジン(Blue Origin)」と新型ロケット・エンジンBE-4の開発で協定を結んだことを発表しました。ULA社は、ボーイング社とロッキード・マーティン社が共同で設立した米国防総省の軍事偵察衛星打ち上げ企業。同社が運用する「アトラスV」第1段ロケットには、1990年代終盤からロシア製「RD-180」ロケット・エンジンが使用されており、昨今の米露関係の悪化から調達困難になる可能性が持ち上がり、アメリカ政府とULAは代替エンジンの開発・選定を急務としてきました。完全米国製の新型エンジンは現行の「アトラスV」ロケットに搭載されているロシア製エンジンとは直接代替はできない為、今後開発される再設計機もしくは次世代機のロケットで置き換えを予定しています。
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桑原卓雄

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今回の提携は4年間の開発プロセスを対象としたものでロケットの開発はブルー・オリジン社が担当、ULA社は資金提供を行います。ブルー・オリジンでは3年前から液体酸素(LOX)と液化天然ガス(LNG)を推進剤とし、エンジン・サイクルには酸素リッチの二段燃焼方式を採用する「BE-4」エンジンの開発を進めており、2016年に実機による燃焼試験、2019年にロケットによる飛行試験を予定。推力は海面上で550,000lbf(約2.45MN)、アトラスVなどへは2基クラスター化して使用を前提に開発されます。RD-180よりも製造コストは低く、ULAの打ち上げ費用引き下げも期待でき、他国への輸出販売も検討。現在はテキサス州西部にある同社の施設でスケールモデルの燃焼テストが行われています。2000年設立の同社はこれまで低空飛行プラットフォーム、再使用型宇宙船ニューシェパード、搭載ロケットエンジンの開発を行っていますが、スペースXやボーイングなどとは異なりNASAからの資金援助ほぼ受けておらず、ジェフ・ベゾス氏の個人資産で開発を進めてきました。

■United Launch Alliance:プレスニュース
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