
1920年、イタリア「カプロニ」社によって1機のみ建造された巨大試作水上飛行艇カプロニ『Ca.60(トランスエアロ)』の記録映像です。「カプロニ」社は第一次世界大戦時Ca.32、ca.33、Ca.36、Ca.40等の爆撃機や輸送機の生産で成功し、イタリア有数の企業に発展。三発三葉の設計経験を活かした100人の乗客を乗せて大西洋を横断するという当時としては桁違いに野心的な計画を立ち上げ、イタリア・ミラノで大々的な宣伝を行いました。機体は全長23.45m、全幅30,00m、全高9,15m、前後三列に三葉の主翼に「リバティーL-12」液冷エンジン(400馬力)を8基搭載し、最大速度130km/h、660キロの航続距離を予定する巨大飛行艇として完成しました。1921年2月12日、イタリアのマッジョーレ湖で300kgのバラストを積載し初飛行に成功。1921年3月4日、乗客60人分に相当する砂袋を積載し2回目の試験飛行を行いましたが、約18メートルの高さまで上昇した後コントロールを失い墜落。主翼一部は無傷でしたが船で曳航中、胴体が水没してしまいました。事故原因は積載したバラストが上昇中移動した為と考えられ、修復し再度計画を進めることも検討しましたが資金不足で断念しています。現存する部品の一部とフロートがミラノのカプロニ博物館に展示されています。