2013年3月15日、スイスに2012年に設立された『スイス・スペース・システム(S3)』は空中発射型小型無人スペースプレーンによる人工衛星軌道投入サービスを発表しました。早ければ2017年にも最初の実験機打ち上げを計画しており、既に欧州宇宙機関(ESA)、フランス航空メーカーダッソー等、複数の企業スポンサーを獲得し、フォンカルマン流体力学研究所やスタンフォード大学から技術協力も得ます。既存の技術を最大限に利用し新技術と組み合わせることで、250kg(550ポンド)までの小型衛星を1,050万ドル(約9億9千万円)と、民間打ち上げ市場価格である40~50億円の1/4と低価格を目標としています。
完全図解・宇宙手帳―世界の宇宙開発活動「全記録」 (ブルーバックス) 渡辺 勝巳 JAXA(宇宙航空研究開発機構) by G-Tools |
類似するシステムで宇宙観光サービスを計画しているヴァージン・ギャラクティックのスペースシップと違い、S3は小型の商用衛星の打ち上げ事業に特化し、この分野でのアドバンテージ獲得を狙っています。打上げ方法はスペースシャトル輸送機のように小型のスペースプレーンをA300の背面に搭載し、高度10km(約32,808フィート)で分離、無人のスペースプレーンはロケットエンジンにより高度80kmまで上昇し貨物室から衛星を放出。衛星はそこから更にロケットにより予定軌道に到達します。メリットとしては対流圏まで安価なジェット燃料で上昇することで燃料費が安く済み、既存の空港で離着陸が可能な為、衛星の輸送が容易。打上げフェーズ中問題が発生した場合、母機、無人機共に再利用が可能な為、途中引き返すことができる等が挙げられます。専用宇宙港はスイス西部パイェルヌに2015年までに建設を予定し、マレーシア、モロッコ等にも建設を予定。プロジェクト費用は総額225億スイスフラン(約2兆2千億円)と見積もられています。
■Swiss Space Systems:公式HP
http://www.s-3.ch/