
2015年4月13日、ボーイング社とロッキード・マーティン社の合弁会社「ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(United Launch Alliance)」は次世代純国産ロケット「バルカン(Vulcan)」を発表しました。ULAは「バルカン」に搭載予定の再利用可能な新型エンジンとブースターの開発を進めており、試験機打上げは2019年、2023年までに実用化を目指す。バルカンは発射後、燃焼終了と同時に第1エンジン部分を切り離しパラシュート降下、空中でヘリコプターが回収することで再利用します。最も製造費用が掛かるエンジンを再利用することで1回の打ち上げコストを1億~2億ドル削減することを目標としています。ULAでは将来的に宇宙旅行向けの商用宇宙船にも応用を検討しています。
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バルカンは、ブースター構成を変更することによって中型から大型の貨物の打ち上げを行うことが可能で、ULA社の主力ロケット「Atlas V」「Delta IV」に代わる次期主力ロケットとして2014年より設計が進められてきました。開発にあたり2つの主要命題を掲げており現在の主力ロケットに搭載される旧ソ連製「RD-180」エンジン依存体制からの脱却。軍事・情報収集衛星打ち上げ事業への参入を予定する「スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX)」社との競争力獲得としており、国産エンジンへの回帰は安全保障上、米連邦議会の厳しい批判に直面したことを受けた為です。メインエンジンにはインターネット通販大手アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が設立した米宇宙ベンチャー「ブルーオリジン(Blue Origin)」が開発するBE-4、ブースターエンジンに「エアロジェット・ロケットダイン(Aerojet Rocketdyne)」AR-1を採用し完全な純国産化を図ります。
■ユナイテッド・ローンチ・アライアンス:プレスリリース
United Launch Alliance Unveils America’s New Rocket ? Vulcan: Innovative Next Generation Launch System will Provide Country’s Most Reliable, Affordable and Accessible Launch Service