M346YAK130

Yak-130はソ連空軍と海軍航空隊で使用するL-29とL-39の後継高等練習機として開発がスタートしました。計画当初から資金不足と海外へ輸出を考え、西側メーカーと共同開発を模索し1987年イタリアのアレーニア・アエルマッキ社と1987年に共同開発の協定が結ばれます。アエルマッキ社の機体は西側のアビオニクスや機材を搭載しM-346として生産・販売しています。近年Yak-130、M-346は韓国のT-50高等練習機と海外輸出市場で激しく争っています。
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安藤 英彌

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1980年代に計画されたソ連空軍とソ連海軍航空隊で任務に就いているアエロL-29とL-39を代替する新型高等練習機の要求仕様に5つの設計局に提示し、これにヤコブレフ設計局のYak-UTSとミコヤン設計局のMiG-ATの競争試作に入ることになります。両設計局の案はタンデム複座と一般的なレイアウトでしたが、MiG-ATが直線翼を採用した無難な設計であるのに対しYak-UTSは空気取り入れ口まで伸びたストレーキと最新の戦闘機をデフォルメしたような先進的な設計で鮮麗されており、これが評価されYak-130として採用されることが決まります。

■試作機Yak-130D
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■要求の違いから提携解消
試作機はYak-130Dと呼ばれ1994年11月に完成、1996年4月に初飛行に成功しています。この時点で両社の間で要求の違いが大きくなりすぎた為、ここで提携を解消し基本設計を同じくする2つの航空機へと分岐することになります。ヤコヴレフYak-130ではインテイクやストレイキの形状を再設計しMiG-29でも採用されたエアインテイクを開閉する蓋とスリット状の補助インテイクが装備、降着装置を強化し不整地離着陸を考慮した変更が加えられています。M-346はエンジンや電子機器を欧米諸国製品に変更し、複合材料とチタニウムの使用範囲を拡大することで重量を軽減、さらに試作機では翼端に取り付けられていたウィングレットを翼の付け根部分に変更しています。



■完全デジタル化されたアビオニクス、軽攻撃機型
Yak-130、M-346は多機能液晶ディスプレイを3面を備え、フライ・バイ・ワイヤに代表される第4.5世代機の飛行特性を再現でき、第4、第4.5、第5世代戦闘機の飛行方法を短い時間で習得させることが可能とされます。また、レーダーとシーカー・ヘッドを使った対空・対地の模擬空戦訓練に対応しています。派生型である軽攻撃機型では主翼に各4箇所、同体に1箇所のハードポイントが設けられ3000kgの兵装が搭載可能で、R-73(AA-11)、Kh-25ML(AS-10)、ロケットポット、偵察ポットなど多彩です。軽攻撃機型初号機は2009年8月に初飛行に成功していますが、ロシア空軍では現状採用予定は無く輸出専用となっています。

■ヤコヴレフ:Yak-130
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■アエルマッキ:M-346
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■量産型納入開始と好調な輸出
ヤコヴレフは2003年から先行量産機2機による実証を得て2009年よりロシア空軍との運用試験を開始し、イルクート社の工場で本格的な量産体制を整えています。ロシアでは2011年に12月に55機を発注、先行量産機と合わせ67機が2015年まで納入される予定です。国外ではアルジェリアより2006年3月に16機を受注。2012年1月にはシリアより36機を受注、2012年12月にはベラルーシーより4機を受注しています。但し内戦状態で国際世論が高まるシリアは政権が崩壊した場合契約が破棄される可能性があります。M-346はイタリアで15機、シンガポールで12機が発注され順次量産中です。

原型初飛行1996年4月26日
全幅9.72m
全長 11.49m
全高 4.76m
乗員2名
エンジンクリーモフ RD-35×2(Yak-130)
ハニウェル F-124-GA-200×2(M-346)
最大速度M0.8
最大離陸重量6,700kg
航続距離1,120km
生産数4機「60機生産中」(Yak-130)
3機「12機生産予定」(M-346)