mig290118MiG-29は1970年代のアメリカ新世代戦闘機に対抗する為開発されました。当時のソ連機はMiG-15からMiG-23の一連の動きを見ても分かるように構造がシンプルだが性能的には遅れを取っている感が否めなく、防空戦闘機で劣ることは国家の存亡にかかわる問題でした。より敏捷で格闘戦に秀でる戦闘機を開発する為ミコヤン設計局(OKB)はソ連が誇るTsAGI「ツアギ」(中央流体研究所)の支援を受け開発を開始します。


設計局名イズジェーリェ9の開発が始まったのは1972年のことでMiG-21の思想を引き継いだ前線向きで簡易な制空戦闘機が狙いで新しい主翼平面形を採用し40度の後退角を持ちながら前翼は丸みを帯びたストレイクとなりました。これは風洞実験を幾度も繰り返し徹底的空力を研究した結果でした。試作一号機は1977年10月6日にジェコーフスキー飛行場で初飛行に成功しており、本格生産は1982年に開始。1983年6月には部隊配備が始まります。



MiG-29のエアインテイクには開閉する蓋が付いているのが特徴でこのふたを完全に閉じることができます。エアインテイクを閉じている間は、蓋の穴と上面スリット状の補助インテイクから空気が取り込まれる。この装置は主に離陸時前輪がはねた泥や石を防ぎバードストライクも防ぐ効果がありました。ただこの補助インテイクを設けた為厚みのあるストレイク部分に燃料をタンクを設けられず、のちに悩まされ続ける燃料搭載不足に陥ることになります。

■エンジン空気吸入孔が完全に閉じた状態


機体の仕上がりは当時のソ連機とは比較にならない程向上しており、舵面は全て金属製ハムニカ材を用いて作られ外板の大半はコンポジットファイバーグラス、内部にはチタン合金が幅広く使われています。コクピットは胴体の一番高い位置に配置し視界が向上しており、風防前方には赤外線捜索追跡装置(IRST)とレーザー側距機の複合センサーを搭載。これはヘルメットと連動しパイロットの頭を向けた目標に自動的にロックすることができます。

■MiG-29M

■多彩な改良型と冷戦終結の余波
MiG-29シリーズは多岐にわたり大きく分けて初期型のMiG-29A、対地攻撃能力向上型のMiG-29S、総合性能向上型のMiG-29M、複座型のMiG-29UB、艦上型のMiG-29Kなど開発されています。しかし冷戦が終結しソ連が崩壊、多くの開発プロジェクトが凍結または中止されてしまいます。ロシア政府は少数精鋭化を進め主力戦闘機にスホーイを選定しているため「ロシア航空機製作会社『MiG』(旧ミグ設計局)は輸出に活路を見出そうとインドを中心に売り込みに力を入れています。

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1993年7月エアタトゥーMiG-29墜落動画

原型初飛行1977年10月6日
全幅11.36m
全長 16.28m
全高 4.73m
乗員1名
エンジンクリーモフ RD-33×2
最大速度M2.2
最大離陸重量20,000kg
航続距離2,900km
生産数1,257機

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夏見 正隆

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