eele0105pライトニングはイギリスが独自に開発し実用化した初のマッハ2級戦闘機で、60度と大きな後退角度付きの主翼と何より本機を特徴する2基のエンジンを上下配置するという稀に見る搭載法を採用しています。上昇力、速度共に優秀でしたが、航続力、兵器搭載量に乏しくF2、F3、F6と改良を重ねるが構造上終始この難題に悩まされ続けた機体でもあります。
■大後退角翼の特性を調べる為急造したショートSB5

開発は1950年台よりイングリッシュ・エレクトリック社(BACから現BAE)が開発し原型P.1Aが1954年に初飛行、3機作られたP.1Bが1957年に初飛行しています。P.1計画着手時より、主に水平尾翼の取付位置を巡ってイングリッシュ・エレクトリック社と王立航空研究所との間で論争が巻き起こりT字尾翼案を主張する王立航空研究所は、競業社のショート・ブラザーズ社にダーウェント単発、固定脚の小型試験機ショートSB5を急造し飛行試験を行っています。SB5は主翼後退角を地上で69度まで調整することができました。



■斬新な設計故の問題点
エンジンの上下配置した狙いはエンジンの1基が停止した際、安定性や胴体断面積の減少を図って採用されたものでしたが結果胴体を絞り込むことになり、機体内に燃料搭載が不足していました。よって機体下部にベントラル燃料タンクを追加、改良を重ねるごとに肥大化していくことになります。このタンクは3分割構造で最大2,210kgの燃料を搭載でき、タンク前方部分には30mm機関砲を装備できました。設計上、主翼下面には主脚が格納されるためハードポイントが設置出来ず、増装燃料タンクは主翼上面に設置しています。



ライトニングは本格的な迎撃レーダーを持つマッハ2級超音速戦闘機としてイギリス空軍の防空能力を飛躍的に向上させ、同国の一時代を築いた機体と言えます。問題の多かった機体ですがイギリス軍パイロットにはとても愛されていました。1974年からファントムとの交替が開始され最後まで残っていた2個飛行隊もトーネードADVに交替し全機退役しています。現存する機体は南アフリカのケープタウンで遊覧飛行用として使用されています。

原型初飛行1957年4月4日
全幅10.61m
全長 16.84m
全高 5.97m
乗員1名
エンジンロールス・ロイス エイヴォン301R ×1
最大速度M2.2
最大離陸重量18,915kg
航続距離2,500km
生産数329機

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