A-4

A-4はダグラス社の名設計者エド・ハイネマンの傑作であり、小柄な機体で大きな搭載力を有することから「小さな巨人」と呼ばれていました。攻撃機でありながら有視界戦としても通用する高い運動性を評価され、アメリカ海軍戦闘機兵器学校(トップガン)で仮想敵機役や海軍のアクロバット飛行チーム「ブルーエンジェルス」でも使用されていました。米軍では全機が退役しましたが、改修されいまだに現役の機体も多く運用されており、その基本設計の優秀さを証明している機体です。
ダグラスA-4スカイホークダグラスA-4スカイホーク

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■エド・ハイネマンと試作機XA4D-1


■名設計者エド・ハイネマン
今ではエド・ハイネマンはダグラス社で辣腕を振るった天才設計者として有名ですが、若いころは一年でダグラス社をクビなり、別会社で勤務するもその会社が吸収合併されて自分を解雇した会社に再入社したりと波乱万丈の時代があったようです。1936年ダグラス社のチーフエンジニアに昇格。担当した機体はどれもがシンプルで軽量かつ頑丈な設計という明確なコンセプトを持ち、A-20、A-26、A-1、A-3など名機として成功させています。一時は、A-1、A-3、A-4と空母艦載機のうち攻撃機はすべて彼が設計した機体ばかりという時代もありました。ダグラスを引退後1962年に彼はジェネラル・ダイナミクス社のオブザーバーとして技術副社長になり、1973年までF-16の開発を指揮しました。



■軽量かつ簡潔、コンパクトで頑丈設計
1952年6月、アメリカ海軍から小型攻撃機XA4D-1の発注を受けたダグラス社は、設計主務者をエド・ハイネマンとして設計を進めます。A-4は翼幅が短い頑丈なデルタ翼を採用することで翼折り畳み機構を廃止、そのままで航空母艦のエレベーターに積載できる規模に仕上げることで重量を大幅に軽減し、海軍側の見込んだ機体重量14tの半分に満たない6.7tの機体として完成しました。翼折り畳み機構を廃止した結果、重量が軽減したうえ機体強度が上がり、小型軽量ながら堅牢な機体に仕上がっており、このクラスの機体としては異例とも言える兵装搭載量となっています。また余計な部品を極力抑えることで信頼性と経済性の評価が高いのも特徴です。


イスラエル空軍のA-4N

■近代改修されいまだに現役
原型機が1954年に初飛行してから既に半世紀以上経つ現在でも近代改修され続け現役で活躍しています。運用しているのはアルゼンチン、ブラジル、イスラエル等があり保有する国々の機体はいずれもアメリカ軍からのお古ですが、それぞれの国で改造されています。シンガポール空軍のA-4SUはエンジンをJ65からアフターバーナーはありませんがF/A-18と同じF404ターボファンエンジンに換装し加速は従来比の40%、上昇率は35%の大幅アップに成功しています。一方エンジンはそのままでアヴィオニクスを強化したのがニュージランド空軍のA-4KでF-16と同じAPG-66レーダーとALR-67レーダー警戒受信機を搭載しています。ただしニュージランドは空軍の戦闘機の廃止を決定した為、米国の操縦士養成会社タクティカル・エア・サービシズに売却されています。A-4をほとんどの国は陸上機として利用していますが、ブラジルは空母サンパウロにてAF-1という名称で本来の用途である艦上攻撃機として保有しており、当面の間は主力機として活躍する予定。

原型初飛行1954年6月22日
全長12.72m
全幅8.38m
全高 4.57m
乗員1名
エンジンP&W J52-P8A×1
最大速度M1.1
最大離陸重量10,206kg
航続距離3,791km
生産数2,960機