YF23_ATF

1980年代初頭、ソ連の新鋭戦闘機に対抗する次世代戦術戦闘機の開発計画(ATF)を受け、ノースロップ社が試作したステルス戦闘機のデモンストレーター『YF-23(ブラック・ウィドウII)』のロールアウト・選定評価試験時の写真です。独特の菱形主翼に垂直・水平尾翼を兼ねた全動V字型の尾翼、機首下部前輪と左右エンジン吸気口中心の間に「ウェポンベイ(写真3・23・24参照)」を配置するステルス性を重視した設計でした。開発にはマクドネル・ダグラス社も参加しておりF-15の前輪やF/A-18の主脚、コックピットの一部にF-15Eの既存部品を使用する等コスト削減の努力も行われています。試作1号機「PAV-1(スパイダー)」はプラット&ホイットニー「YF119-PW-100」、2号機「PAV-2(グレイゴースト)」にはゼネラル・エレクトリック「YF120-GE-100」ターボファンエンジンがそれぞれ搭載され、競合機であるYF-22と選定評価試験を競いました。1990年11月29日、YF-23はスーパークルーズ(超音速巡航)でマッハ1.6を達成、YF-22のマッハ1.58を上回り、機体形状の優位性が評価されましたが、YF-22がウェポンベイからAIM-9、AIM-120発射デモを成功させる中、YF-23は最後までミサイル発射試験は行われませんでした。評価結果は1991年4月23日に下され、ロッキード社の「YF-22」とプラット&ホイットニー「YF119-PW-100」がATFとして選定が決定し、YF-23は敗れています。現在1号機がオハイオ州国立アメリカ空軍博物館に展示されています。