航空機データファイル

英国3Vボマー最後の一翼『ハンドレページ ヴィクター』

Victor

ハンドレページ・ヴィクターは1950年代、イギリス航空省B35/46爆撃機要求に基づきハンドレページ社で開発され、同時期のビッカース・ヴァリアント、アブロ・バルカンと共に3V爆撃機と呼ばれていました。中でも最後に実用化されたヴィクターは主翼に独特の「三日月翼」、エンジンを主翼付け根に配置、T字尾翼など、オーソドックスなスタイルで登場したバリアントとは対照的で独特の形態は今でも多くの航空ファンを魅了しています。爆撃機としては寿命は短かったものの空中給油機として長きに渡り運用され、3Vボマーの中では最後となる1993年に退役しています。

世界初の実用ティルトローター軍用機『V-22(オスプレイ)』

v-22

『V-22(オスプレイ)』はエンジンローターの角度を変えることでヘリコプターのように垂直上昇ができ、上昇後はローター軸を前方に向けて普通のターボプロップ機として飛行することができる「ティルトローター機」として始めて実用化された機体です。従来の固定翼機と回転翼機のパイロット免許区分と概念を覆す革新的な機体と言えますが、開発の難しさから初期に試験中に4度機体に起因する死亡事故を起こしたことで「未亡人製造機」と揶揄され安全性に不安のある機体という印象が強くなってしまった機体です。

超大国の象徴。ステルス戦略爆撃機、B-2「スピリット」

B-2

B-2ステルス戦略爆撃は充分な防空が行なわれている空域に易々と進入して敵防衛力を抹殺し、指揮・管制モードを寸断するという戦略的な任務を担っています。これを同レベルの能力を持つ爆撃機を製造・運用できる国は現在他に存在せず、世界で唯一の超大国であるアメリカの象徴的存在となっています。B-2は実用化された従来の航空機とは相容れない形と黒い機体は世界中に強いインパクトを与え、「ステルス」という単語も相まり「反重力エンジンを搭載している、UFOの技術で開発された」等荒唐無稽な噂が一人歩きしました。しかし実際には全翼機開発失敗の歴史とジャック・ノースロップという一人の男の夢が結びつけた航空機であったのです。

スホーイ初の民間ジェット旅客機SSJ100「スホーイ・スーパージェット100」

ssj100

ソ連時代に軍用機専門の設計局であったスホーイ社が新たに民間旅客機市場に参入するために開発・販売している新型リージョナルジェット機「SSJ100(スホーイ・スーパージェット100)」。同機はグローバル化が進む現在、西側諸国の新型旅客機が台頭するなか低迷の続くロシア航空業界においてロシアの期待を一心に受け開発されている機体です。その為約計画当初から多額の政府補助金や国内へのエアラインへ購入を催促する等、ロシア政府の強い後押しを受けています。

B-29迎撃の切り札、九州飛行機『十八試局地戦闘機「震電」』

shinden

大戦末期、B-29の高高度からの無差別空爆は熾烈を極め、軍事工場を始め多くの都市が壊滅的な被害を受けていました。当時アメリカの最新鋭爆撃機B-29は圧倒的な高度と頑丈な機体から「空飛ぶ要塞」と呼ばれ日本の戦闘機では満足に迎撃することもままならない状況であり、これに対抗する為日本海軍と九州飛行機が迎撃の切り札として開発していたのが、エンジンが後部にありエンテ翼を持つ十八試局地戦闘機「震電」です。エンテとはドイツ語で「鴨(かも)」のことで主翼が胴体の後部にあり機首が鳥のように長く突き出た飛行機を鴨の形に似ていることからエンテと呼ぶようになっています。

軽量かつ簡潔、コンパクトで頑丈設計。エド・ハイネマンの最高傑作。ダグラス『A-4(スカイホーク)』

A-4

A-4はダグラス社の名設計者エド・ハイネマンの傑作であり、小柄な機体で大きな搭載力を有することから「小さな巨人」と呼ばれていました。攻撃機でありながら有視界戦としても通用する高い運動性を評価され、アメリカ海軍戦闘機兵器学校(トップガン)で仮想敵機役や海軍のアクロバット飛行チーム「ブルーエンジェルス」でも使用されていました。米軍では全機が退役しましたが、改修されいまだに現役の機体も多く運用されており、その基本設計の優秀さを証明している機体です。

時代を駆け抜けた超音速旅客機「コンコルド」

concorde

コンコルドはイギリスとフランスが共同開発した超音速旅客機で、高度5万5,000~6万フィートという、通常の旅客機の飛行高度の2倍もの高度を、マッハ2で巡航し定期国際運航路線をもっていた唯一の民間超音速旅客機でした。生産機数は原形機を含め20機、運営したのは開発国の航空会社であるエールフランスと英国航空の2社だけという商業的には成功したとは言えません。しかし、その超音速飛行を追求した美しいデザインと超音速旅客機という当時の夢を実現した航空機であることから退役した現在でも根強い人気を持つ機体です。

ソビエト連邦、ミコヤン・グレヴィッチ(MiG)設計局第5世代概念実証機「MiG1.44」

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MiG1.44は、ソ連空軍向けにミコヤン・グレヴィッチ(MiG)設計局が開発した、第5世代ジェット戦闘機にあたる1.42の概念実証機。1.44という名称はロシア空軍に正式採用されていない単なる設計局の試作機であることを示しています。1.44は資金不足で飛行もままならず、公表されている情報も非常に少ない機体です。ロシア空軍ではスホーイの開発するPAK FA(T-50)に開発資金を集中させる方針であり、より実戦向きの1.42を開発できる可能性はありません。

異形のジャンボ、特殊輸送機『ボーイング 747-400LCF(ドリームリフター)』

747LCF

747-400LCF(ドリームリフター)は現在ボーイング社で開発中の次世代旅客機ボーイング787の主翼や胴体の一部など、組み立て前のパーツを日本やイタリアのパートナー企業から運ぶため専用の輸送機です。エアバス社のベルーガと比べ新造機ではなく中古の機体を改造しており、機体内部空間確保のために胴体だけが異様にむくれ上がった奇妙な形態をしています。この形はボーイング社自身が「醜い」と称するほどですが、中部国際空港に部品輸送の為飛来することがあり日本では人気のある機体です。

欧州の「疾風」。フランス空・海軍主力戦闘機、ダッソー『ラファール(Rafale)』

Rafale

ラファールはフランス空軍と海軍の主力戦闘機であり、国産のエンジンと電子機器を装備しフランス航空産業の集大成を象徴する最新鋭の航空機です。機体名称は、フランス語で「疾風、突風」を意味し、ダッソー歴代のデルタ翼に鮮麗された空力設計とFBW技術でその名に恥じぬ高い運動性能を実現しています。当初、イギリス、フランス、西ドイツ、イタリア、スペイン等西ヨーロッパ諸国と共同で欧州戦闘機(ユーロファイタータイフーン)の開発を目指していましたが最終的に脱退し単独で完成させています。
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