saab39スイス連邦政府は現在陸軍航空隊で使用中のF-5E/Fの後継機として、サーブJAS39グリペンを選定したと発表しました。今後導入される機数は22機となり、金額で約31億スイスフラン(34.1億ドル)。同国マウラー国防相はベルンで開かれた記者会見において「グリペンは完全に我々の要求内容に適合し、すべての軍用規格を満たしている。また選定3機種の中でも最もコスト的にも優れており限られた予算内で適切な判断をした。」と述べています。
スイスへの納入は2015年から2018年に予定しており、老朽化が著しいF-5E/Fを順次置き換えていきます。今回の選定は2008年より提案されていたスウェーデンのサーブ社製JAS39「グリペン」、フランスのダッソー社製「ラファール」、国際共同の「ユーロファイター」3機種が候補で性能面ではラファールが有力と考えられていましたが調達コスト、運用費用で高額であるとされ最終候補から脱落しました。これに対しダッソー社では失望したとの見解とグリペンNGはまだペーパープラン段階であり、コスト増加や技術開発、生産リスクを無視していると反論しています。これに対しサーブ社では早急にグリペンのアップグレードを完了することで、今後受注の見込めるクロアチア、ブルガリア、ブラジル、デンマーク、オランダでさらなる攻勢をかける狙いです。ただしスイス国内では一部の国会議員から戦闘機購入決定に反対しており「緑の党」を中心に国民投票を呼びかけることを明らかにしており今後この決定が覆る可能性もあります。

■参照記事ロイター(英語)
http://www.reuters.com/article/2011/11/30/switzerland-fighters-saab-idUSL5E7MU5V820111130

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飯山 幸伸

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